アウトプレースメントとは

アメリカでは日本と違って、企業の業績が悪化すると、人員削減が行われます。ただ、一方的に人員削減を行うと、様々なトラブルがおきるので、専門の会社がきちんと従業員の能力や希望などを把握して、その従業員に相応しい転職先を見つけてあげることをアウトプレースメントといいます。このことで、企業は人員整理された社員とのトラブルもなく、人員整理された社員も、基本的には収入源の確保が保証されるので、制度としても、非常に評価されるものと考えます。

日本式リストラが失敗する理由

日本の場合はというと、今までは、人員整理のターゲットされた社員に対しては、様々な手法を使って、結局その社員がやめざるを得ないようにするようなやり方がしばしば行われました。

記憶にあたらしいところでは、リストラの対象となった中高年の従業員が、その会社の社長室に立てこもって、悲痛な自殺を社長の面前で遂げるという痛ましい事故がありました。これは、自殺をした社員が、リストラ部屋に閉じ込められて、結局どんどん追い込まれた結果、このような悲惨な結果がおきてしまいました。

これは、日本特有の「いじめ」によるもので、人員整理の対象となる社員がその組織にいられないように追い込むやり方です。このやり方ですと、まず、その人の誇りを傷つけてしまうと同時に、次の就職先のあてもないための絶望感に追い込まれてしまうため、心がずたずたになってしまいます。ですから、組織的にいじめによる退職を促すというやり方は、一人の人間のプライドを崩壊させ、さらには、怨恨と言う感情を抱かせてしまいます。

アウトプレースメントは戦略的な人事政策

一方でアウトプレースメントの場合は、人員整理の対象になった社員に対して、戦略的に対応をして、次の就職先の確保がその業務です。具体的には、

  • キャリアコンサルタントのカウンセリング
  • 履歴書や職務経歴書などの応募書類の書き方
  • 就職情報の提供
  • 企業の紹介
  • ビジネススキル向上のための研修

などが行われます。結果その社員の仕事先が見つかれば、企業もその人に関わる人件費等に関わるコストが減りますし、人員整理の対象となった人からも感謝されます。もちろん、従業員のアウトプレースメントは、そのサービスを請け負う会社に手数料を払わないといけませんが、アウトプレースメントをしないで、やめるまで追い込むやり方は、場合によっては怨恨を生むということもありますから、その場合の影響を考えると、ある程度コストをかけても、アウトプレースメントを行なったほうが、企業と人員整理の対象になった社員にとっても、いい結果に結びつく事が多いと言えるでしょう。